近年、医学が進歩する中で、患者さまの身体的な負担をなるべく軽減する「低侵襲治療」が積極的に取り入れられています。そのような医療機器を取り扱う手術用医療機器営業の仕事が注目を浴びています。
当ページでは、手術用医療機器を取り扱う営業職の具体的な業務内容や仕事の魅力・やりがい、キャリアを積んでいくメリットなどについて解説。医療系の営業職に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
手術室は、日々、多くの患者さまの生命と向き合う医療現場の1つです。そこでは、医師の医療技術を支え、手術の精度と安全性を高めるため、多種多様な手術医療機器の存在が欠かせません。手術で用いられる医療機器は、患者さまの身体的負担を軽減させるために重要な役割を果たしています。
これらの機器は、基本的な器具であるメスや鉗子(かんし)、剪刀(せんとう:はさみ)といったものから、比較的新しい工学技術や情報技術が結集された高度なシステムまで、多岐にわたるのが特徴です。
近年、医療技術が進歩する中で、大きく注目されているのが、患者さまの身体的な負担をなるべく軽減できる「低侵襲治療」です。この治療は、従来の治療のように大きく切開せず、小さな切開創から器具を挿入したり、身体にある血管などを利用したりする治療法のことです。
手術用医療機器の進化は、低侵襲治療の発展に大きく貢献していると言われています。代表的な手術用医療機器には、以下のようなものがあります。
腹部や胸部などの部位に数カ所の小さな穴を開け、そこから細いカメラ(内視鏡)と専用の手術器具を挿入して行う手術に使用されます。
高解像度の内視鏡システムや、組織の切開・止血を行う電気メス・超音波凝固切開装置、組織を縫合する自動縫合器などがあります。
主に脳血管や大動脈、心臓の血管などの疾患に対し、足の付け根や手首の血管から、カテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、血管内で治療を実施する場合に使用されます。
例えば、狭くなった血管を風船で広げるバルーンカテーテルや、血管を内側から補強する金属の筒であるステント、人工血管にステントと呼ばれるバネ状の金属を取り付けた「ステントグラフト」などがあります。
手術支援ロボットとは、外科医が手術中に体内の様子を立体的に3Dハイビジョンで確認しながら、精密な手術を低侵襲で行えるように支援するロボットシステムのことです。
人の手の動きをより細かく、安定して再現可能なことから、複雑な手術や繊細な作業が求められる現場での活用が進んでいます。
骨折治療のための金属プレートやスクリュー、人工関節(股関節・膝関節)、脊椎を固定するための器具など、運動器の機能回復を目的としている製品があります。整形外科手術の際には、専用のドリルやノミといった器械も用いられるのが特徴です。
脳神経外科で用いられる手術用顕微鏡やナビゲーションシステム、眼科用の精密な手術装置などもあげられます。
上記以外には、手術中の患者さまの状態を監視する生体情報モニターといった装置や専門的な機器もさまざま存在するのが特徴です。
これらの手術用医療機器は、それぞれが独自の特徴と役割を持ち、互いに連携しながら、より安全で質の高い医療の実現に貢献しています。
医療機器営業の活動では、新規顧客営業と既存顧客営業の2つに分類されます。新規営業では、まだ取引のない医療施設や福祉施設にアプローチし、製品やサービスの提案を行います。
一方、既存営業においては、これまで信頼関係を築いてきた顧客に対し、継続的な製品提供やアフターフォローを実施。
手術用医療機器の営業は、単に製品を販売するだけでなく、医療の最前線で医師や医療従事者を専門知識と情報でサポートし、最適な治療の実現に貢献する重要な役割を担います。
その業務は多岐にわたります。ここでは、業務内容について解説していきますので、チェックしてみましょう。
担当エリアの大学病院や基幹病院、クリニックなどへ定期的に訪問します。外科や内科、放射線科の医師や看護師、臨床工学技士といった医療従事者に対し、自社で取り扱っている手術用医療機器の特性や有効性、安全性に関する学術情報・臨床データを提供します。
医療現場のニーズを正確に把握し、それぞれの状況に合った製品・治療法の提案を行うことも重要な業務の1つです。
手術の際に、手術室やカテーテル室へ入りチームの一員として技術的なサポートをする場合があります。
その役割は非常に重要とされており、使用される機器の準備や操作方法に関して医師からの問い合わせに対応するほか、万が一トラブルが発生した際には迅速に問題を解決するなどの対応を行います。
緊急手術に入る場合もあり、高い専門知識はもちろん冷静な判断力、体力が求められます。扱う製品によっては、手術中に機器のセッティングや調整といった業務をサポートする場合もあります。
医療従事者に対して、新しい製品を導入する際や、既存製品への理解を深めてもらう目的で製品のデモンストレーションや勉強会の企画・実施をすることもあります。
実際に機器に触れてもらったり、正しい使用方法・注意点を伝えたりすることで、より理解が深まり、医療安全の向上にも貢献できます。
製品を導入後も、使用状況や有効性、改善点など継続的に聞き取りを行い、きめ細やかなアフターフォローを行います。現場からのフィードバックは、製品改良や新たな開発に繋がる貴重な情報源の1つです。
また、担当エリアの市場動向や競合製品の情報についても収集・分析するよう努め、効果的な営業戦略を立案・実行します。
国内外で行われている関連医学会や医療機器の展示会へ積極的に参加します。そこで、最新の医療技術や製品情報を収集し、知識のアップデートを図ります。また、自社ブースでの製品説明や、製品に関するプレゼンテーションを行うことがあるのも特徴です。
手術用医療機器の営業は、製品の専門性が高いため、解剖生理学や関連疾患、手術手技に関する知識を常に学び続けることが重要です。そして何よりも、医療従事者との信頼関係を構築していくため、高いコミュニケーション能力が求められます。
手術用医療機器の営業は、責任が大きく、常に新しい知識の習得が欠かせない業種ですが、大きなやりがいや魅力のある仕事でもあります。ここでは、やりがいや魅力について解説します。
医師や看護師といった医療現場の専門家と連携し、製品の選定・導入、使用方法の指導などにあたります。「この機器のおかげで手術が成功した」「現場がスムーズになった」といった言葉を聞ける機会もあり、自分の提案が医療現場で役立っている実感も得られるでしょう。
また、患者さまの治療に役立ち、QOLの向上につながった場合、治療に貢献できていると感じられます。
手術用医療機器の分野は、日々新しい技術や機器が開発されるため、常に知識や技術を修得し、自身の専門性を高めていく必要があります。
製品に関する知識はもちろん、関連する医学知識や手術手技についても理解を深めていくと、医師からも頼られる存在になれるはずです。
手術用医療機器の営業は、単に商品を売る業者ではなく、医師や看護師といった多くの医療専門職と連携し、治療の成功という共通の目標に向かって進む「医療チームの一員」です。
手術の立ち会いなどの業務を通じて、日々コミュニケーションを深めていく中で、信頼関係を築き、チーム医療に貢献できるのは大きな魅力です。
日々進化する医療技術に立ち会うことができ、新しい製品・治療法が医療現場へ導入されるプロセスに関与できます。自分が携わった製品が、新たな可能性を切り拓いていく場面に立ち会えることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
営業職として経験や実績を重ねた後、その専門知識やスキルを活かしていくことがおすすめです。
具体的には、セールスマネージャーやプロダクトマーケティング、学術担当、クリニカルスペシャリスト、薬事や開発といった分野にいたるまで、さまざまなキャリアアップの機会が生まれます。
自身の興味や適性に合わせて、専門性を深めたり、新たな領域に挑戦したりするなど、自己実現を目指せる環境があります。
手術用医療機器の営業は、医療への貢献意欲が高く、知的好奇心が旺盛な方にぴったりの業種です。また、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力の高い人やチームで働くことにやりがいや喜びを感じる方にとって、挑戦しがいのある魅力的なキャリアと言えるでしょう。
医療機器営業とは、病院や診療所といった医療機関に向けた医療機器を販売する職種を指します。単に製品を販売するだけでなく、医師や看護師といった医療従事者に対する製品の機能・操作方法の説明、導入後のサポートまで一貫して行います。
医療機器営業は、医療機関を頻繁に訪れることが多く、緊急手術への立ち会いといった不規則な業務に対応することも多々あります。そのため、体力はもちろん、精神的なタフさも求められるでしょう。また、製品の正確な情報伝達をするためには、使う相手の気持ちをくみ取り、わかりやすく説明するなど高いコミュニケーション力も欠かせません。
体力に自信があり、人とコミュニケーションをとることが好きで、社会に貢献できることにやりがいを感じられる人は、適性があると言えるでしょう。
当メディアでは、医療機器営業のやりがいについて実際に働く方にインタビューしているので、医療機器営業という仕事に興味を持った方は参考にご覧ください。