こちらの記事では、「メディカル営業」と呼ばれる仕事について解説をしています。どのような役割を持っている仕事なのか、またどのような点でやりがいや魅力を感じられるのかなどをまとめていますので、メディカル営業という仕事に興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
病院・調剤薬局向けに医薬品や医療機器の提案や販売を行うのが「メディカル営業」です。このメディカル営業は「医療機器の営業」「MR(医薬情報担当者)」「MS(医薬品卸販売担当者)」の3種類に分けられています。
それぞれの違いを簡単に説明すると、下記のようになります。
このように、メディカル営業にはいくつかの職種があり、担当する仕事内容が異なります。
続いて、それぞれのメディカル営業の仕事内容について解説していきます。
医療機器の営業は医療機関を訪問して、医師などの医療従事者に対して医療機器の販売を行います。医療機器とは、例えばCTやMRIなど大型のものを想像するかもしれません。もちろんこのような大型の機器も取り扱いますが、人工関節や手術用グローブ、マスクなどのように非常に幅広く取り扱っています。
その営業が医療機器メーカーに所属しており自社製品を取り扱っている場合には、自社製品の性能など優位性を説明することによって販売につなげていきます。さらに、販売後のアフターフォローとして、製品の取り扱い方法に関するトレーニングを実施する場合もあります。
また、商社(ディーラー)に所属している場合には、さまざまな医療機器を取り扱うため、各製品の特徴や性能を把握しておき、医療機関のニーズに合ったものを提案することが求められます。中には、顧客となる医療機関の予算や事業計画に合わせた医療機器の導入計画を提案するなど、コンサルタントのような役割を担うケースもあります。
製薬会社や医薬品販売業務委託機関(CSO)に所属するMRは、病院や調剤薬局などの医療機関に対し、医薬品の情報提供や収集を行うという役割を持っています。医薬品販売業務委託機関とは、製薬会社のMRを代行する業者を指しており、ここに所属しているMRは「コントラクトMR」と呼ばれています。
MRは営業職として位置付けられていますが、一般的な営業と異なるのが販売は行わない点です。あくまでも医薬品の情報提供や収集を行うことによって、自社の製品を導入・処方する医療機関を増やすのがMRの役割となっています。
ただ販売は行わないとはいえ、営業職である以上MRも売上目標は持ちます。ここで知っておきたいのが、MRの売上は「担当の医療機関において、自社の医薬品を処方した売上」が該当する点。売り上げを上げるためにも医師や薬剤師に対して情報提供などを行うことで、自社の医薬品について認知をしてもらい、処方を増やす点が非常に重要になってきます。そのためにも、医師や薬剤師と密にコミュニケーションをとることが大切なポイントとなってきます。
医薬品の卸売会社に所属しているMSとは、医療機器メーカーや製薬会社から仕入れた医療機器や医薬品、医療材料などを医療機関に提案・販売することが仕事です。MRが情報収集を行い、その後に実際に販売する役割を担うのがこのMSです。そのため、場合によってはMRに同行して顧客訪問を行うことも。このように日々情報共有を行うなどお互いに連携しつつ仕事を進めていきます。
MSの特徴として挙げられるのが、さまざまな医療機器や医薬品、医療材料を取り扱う点。そのため、幅広い知識が求められる仕事でもあります。さらに、MSは販売を担当する立場であり、価格交渉も仕事のひとつです。
メディカル営業として働く魅力ややりがいは、医療機器や医薬品の情報提供や販売などを通じて「病気や怪我で困っている人の助けとなっている」といったように、社会に貢献している実感を持てる点が挙げられます。仕事をする中では、新しい技術を使った医療機器や新薬、安価なジェネリック医薬品などの取り扱うケースもあります。患者の声を直接聞く機会はないものの、医療従事者を通じて自分が情報の提供や販売を行った製品が誰かの役に立っていることを実感できます。
また、メディカル営業は医師や薬剤師など、高い専門性を持つ人を顧客とする仕事です。そのような顧客に対して提案を行い、採用された際にも大きな喜びを感じ、やりがいや魅力を感じると考えられます。さらに、仕事を通じてさまざまな知識を得られるため、自分の周りにいる家族や友人に対しても何らかのアドバイスができる場面があるかもしれません。
メディカル営業という仕事を知る上で、年収はどれくらいなのか気になる人も多いのではないでしょうか。職種によって年収は変わってきますので、ここではそれぞれの職種ごとの年収の目安について紹介します。
まず、医療機器の営業ではメーカー勤務は510万円程度、商社勤務では410万円程度とされており、メーカー勤務の方が年収が高くなる傾向があるとされています。
またMRでは、年収は620万円ほどといわれていますが、経験によっては800万円ほどの年収となる人もいます。そして、MSの場合の年収は450万円程度。求人によっては600万円から800万円ほどといったケースもあります。
「社会に貢献したい」「病気や怪我などで困っている人の役に立ちたい」という気持ちを持っている人は、メディカル営業の仕事が向いているといえます。
医療機器や医薬品を取り扱うため非常に専門性が高く、さまざまな知識を身につける必要があります。また、医師や薬剤師は多忙なことが多く、アポイントを取るのも難しい場面もあるかもしれません。しかし、困っている人の役に立ちたいという気持ちがあることで、さまざまな壁を乗り越えられるといえます。
さらに、メディカル営業は移動が多い・勤務時間が不規則になる面があり、体力や強い精神力も求められます。このような点から、体力面・精神面でタフな人にも向いている仕事と考えられます。
メディカル営業として働く上では、必須の資格があるわけではありません。しかし、保有していることで有利になる資格はいくつかあります。どのような資格を取得しておくと仕事で役に立つのかをご紹介していきます。
一般社団法人日本医療機器学会が実施している認定制度であり、医療機器の営業として仕事に取り組む上で役立つ資格です。この認定の目的は、医療機器の品質向上や医療機器を正しく使用して安全性を確保する点。製造販売業者と医療機器の利用者との間で、機器に関して正確な情報伝達を担う人を認定するために制定された制度です。
こちらの資格では、受験資格は設けられていませんが、認定を受けることによって医療機器の営業として求められる知識を身につけていると証明できます。
公益財団法人MR認定センターが実施している試験であり、この試験に合格すると、MRとして営業活動を行うにあたって必要な知識を持っていることを示すMR認定証を得られます。ただし、MR認定試験を受けるためにはまずは受験資格を得る必要があります。受験資格を得るには、下記の2通りの方法があります。
一般社団法人日本ジェネリック医薬品販社協会が実施している認定試験。MSの情報提供に関するスキルアップ、モチベーションアップ、ジェネリック医薬品の普及活動推進などを目的として行われている試験です。MS認定試験を受けるためにも、まずは受験資格を得る必要があり、下記の条件を満たすことで受験資格を得られます。
上記の条件を満たすことにより、MS認定試験の受験資格を得られます。
現在、MRの需要が下がっている傾向にあるといわれています。その原因として挙げられているのが、新型コロナウイルスの影響によりオンラインでのコミュニケーションが普及した点。このことによって、医療現場における営業活動においても、デジタル化が進んでいるという状況にあります。オンラインでの営業への切り替えによって、遠方の医療機関に足を運ぶ機会が少なくなり、その分1人のMRがカバーできる範囲が広がりました。そのため、新たな需要が減少していると考えられています。
ただし、医療機器や医薬品は病気や怪我があるかぎり必要なものであることから、今後も継続的な需要があるといえます。特に日本は少子高齢化が進んでいる現状があります。そのため、専門的な知識を持つメディカル営業からの情報提供は引き続き求められると考えられます。
こちらの記事では、メディカル営業の仕事内容ややりがい・魅力、関連する資格などを解説してきました。メディカル営業には大きく分けて3種類の職種がありますが、いずれの仕事も病気や怪我で困っている人の役に立てる仕事ということで、大きなやりがいを感じられる仕事であるといえます。
当メディア「メディカルキャリア」では、医療機器営業のやりがいについて実際に働く方にインタビューしているので、医療機器営業という仕事に興味を持った方は参考にご覧ください。